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ラクトンC10(γ-デカラクトン)とラクトンC11(γ-ウンデカラクトン)の香りに魅了された日々の備忘録

治験という名の高額有償ボランティア(実質アルバイト)

治験という名の高額有償ボランティア(実質アルバイト)

治験(ちけん)と言う言葉をご存知でしょうか?治験は新しい薬や治療方法、医療器具などが一般の市場に出回る前に、その効果や安全性などを証明するデータを取得し、最終的には厚生労働省の認可を得る事を目的に行う臨床試験の事を指します。早い話「人体実験」です。

ひとえに治験といっても様々な段階があり、動物実験が終了した直後に健康な人を対象に少量の新薬を投与して副作用など無いかを確認するフェーズⅠから、少数の患者に投与して新薬の効果を測定するフェーズⅡ、より大規模に多数の患者に投与するフェーズⅢ、最終的には再度健康な人を対象に薬の血中濃度の遷移を測定する試験など様々な治験があります。

治験に参加する人は治験ボランティアと呼ぶのですが、ボランティアと言ってもかなり高額な報酬・謝礼(正確には負担軽減費)がもらえる有償ボランティアです。当然の事ながらフェーズが浅くリスクが高い治験の方がより高額な負担軽減費をもらえますが、拘束期間(入院期間)はその分長くなります。

治験って何するの?

冒頭で述べた通り治験には様々な種類が存在するので一概には言えないのですが、新薬の治験では以下のようなステップを踏んで行くことになります。

  1. 事前検診
    入院する前に検診があります。この事前検診をパスすれば、晴れて治験ボランティアに参加する事ができます。
  2. 入院1日目
    昼過ぎもしくは夕方頃に治験施設(病院)に集合して入院します。他にどんな治験ボランティアが参加しているのかがわかるドキドキの瞬間です。といっても特に自己紹介するわけではないので、ほとんどの治験ボランティアは「謎の人」のままで終わります。一通りの説明を受けると、再度医師による診察があります。入院中はかなり早い時間に就寝時間となるのですが、大抵は寝られません。ヒマです。
  3. 入院2日目
    朝食は絶食(無し)の場合が多いです。そしていよいよ新薬を服用します。服用すると15分後には早速採血が始まります。最初は15分おきに採血されるので、一番つらいところかもしれません。採血間隔は15分おき➡30分おき➡1時間おきと徐々に伸びていきます。基本的にトイレ等以外は指定の場所で待機していなければなりませんが、テレビやマンガなど各自好きなものを見て過ごします。
  4. 入院3日目以降
    3日目以降も医師の診察は続きます。特に怪我や病気をしているわけではないので、みな元気。治験ボランティアが最もヒマを持て余すのがこの瞬間です。
  5. 退院
    指定期間の入院を終えると、いよいよ退院となります。報酬(負担軽減費)はこの日に手渡しされます。入院を伴う治験の場合、10万円近くもしくはそれ以上になるので、自宅に帰るまで緊張が続きます。
  6. 事後検診
    退院から1週間後など再度検診がある場合があります。その後特に副作用など現れなかったかなどが問われます。

報酬(負担軽減費)の相場

新薬の治験など入院を伴う治験であれば、1泊2万円程度が相場です。3泊4日の試験であれば6~8万円、2週間の入院を伴う治験であれば30万円近くにもなります。入院せずに通院だけで済むような治験の場合、1回につき1万円程度が相場です。

死亡・副作用が発生したらどうなるの?

副作用が発生して、予定していた期間を超えて医師の管理下に置かれる必要性が認められた場合、継続して入院することになります。その際、治験ボランティアの金銭的負担は一切ありません。

万が一死亡した場合は‥‥事前の説明会でこの辺の話はちゃんと説明されているはずなのですが、よく覚えていません(汗) しかし、副作用と同様、それなりの補償がなされるはずです。

入院中の過ごし方

治験実施施設には病院とは思えない「待機室」があって、テレビやDVD、マンガや書籍がずらりと揃っています。個室が無いマンガ喫茶のような感じです。

基本的にこの待機室での時間はヒマなので、ちょっと古い作品ですが「こち亀」「ゴルゴ13」「ドラゴンボール」などを長編マンガを全巻読むぞと気合を入れて1巻目から読み始める人もいれば、学校の勉強に集中する学生さんも多いです。

ある程度時間がたつと、待機室から出て自分のベッドに戻ってよい時間が増えるので、そうなるとベッドで寝てる人も結構います。

オススメ治験募集サイト

昔は、アルバイト情報誌に治験募集情報が掲載される事などなく、いわゆる「裏バイト」「闇バイト」として扱われる事もありました。しかしインターネットが発達した現在では治験の募集はいくつかのウェブサイトによって公に実施されれており、かつてのような怪しいイメージは払拭された感があります。

治験情報は治験募集サイトを通じて広く一般に公開されていますが、治験依頼元(製薬会社・医師・病院)は治験募集サイトによって異なるため、治験情報は治験募集サイトによって若干異なっています。

これはインターネットが普及する前から行われていた事ですが、オススメは、複数の治験ボランティア募集サイトに登録し、その中から条件がマッチした治験に応募していきましょう。

ただし、治験には休薬期間と言って、新薬等の副作用の因果関係を明確するために、一度治験を受けたら数か月程度の間、別の治験を受ける事ができないルールがあるので、ご注意下さい。

JCVN (ジャパン クリニカル ボランティア ネットワーク)

高血圧・糖尿病・痛風・脂質異常・喘息・ニキビ等の疾病患者向け治験ボランティアはもちろんのこと、健康な人対象の入院治験など数多くの治験情報を取り扱っています。

JCVNでは、ウェブ上での会員登録後、説明会を開催していて、この場で治験に関する基本的な注意事項や治験参加者からの質問や疑問に答えてくれます。この説明会に参加しないと治験に応募できないので注意して下さい。結構すぐ枠が埋まってしまうので、早めの説明会予約をオススメします。

ここまでしっかりと「研修」の場まで用意しているのは私が知る限りJCVNくらいですね。初めての場合、いろいろ不安な事もあるかと思いますが、是非とも説明会の場でその不安を払拭してみて下さい。

JCVN (ジャパン クリニカル ボランティア ネットワーク)JCVN (ジャパン クリニカル ボランティア ネットワーク)
Author: 株式会社パシフィックグローブ
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NEW-ING (ニューイング)

登録ボランティア数は約10万人と他社と比べて少ないですが、設立は2001年でかなりの老舗の治験ボランティア募集サイトです。NPO法人ニューイングによって運営されています。

NEW-ING (ニューイング)NEW-ING (ニューイング)
Author: NPO法人ニューイング
治験情報サイトを運営するNPO法人ニューイングは、長年において治験の普及に取り組んできたNPO法人(特定非営利活動法人)です。製薬・医療業界でのネットワークを活かし、信頼できる治験情報をご紹介します。

治験ボランティア体験記

参加中の治験ボランティア情報をSNS等に掲載することは基本的に禁止されています。ここでは治験対象薬が特定されない範囲で過去に参加した治験ボランティアを紹介します。

市販開始直前の血中濃度測定試験①

初めて参加した治験で、新薬を飲んだ後、その新薬の有効成分の血中濃度を調査する試験でした。血中濃度調査ということで、1時間おきに採血がありました。今は留置針があり1回注射するだけで、あとは注射することなく採血できますが、昔は採血の度に注射されていたので結構苦痛だった覚えがあります。

採血時以外は何をしていても良く、ちょうど試験前だったこともあり、勉強道具を持ち込んで1日中勉強していました。本当にやることが無く、集中して勉強できた結果、良い成績を残すことが出来ました。

市販開始直前の血中濃度測定試験②

再度、新薬の血中濃度を測定する治験です。10回程度注射して採血されるのは相変わらず苦痛でしたが、それ以外の時間は他の治験ボランティアと一緒にずっと対戦ゲームやって過ごしてました。

最新型コンタクトレンズの試用

最新式のコンタクトレンズを試用して、装着感など詳細なアンケートに回答するという新薬ではない治験ボランティアです。試用するコンタクトレンズを決定する際に、かなり詳細に測定してくれ、担当医師からカーブ率や度数等、様々なアドバイスをいただく事が出来ました。

ちなみに今使用しているコンタクトレンズはこの治験の時に試用したコンタクトレンズです。

最新型体重計と血圧計の試用

BluetoothとIoTデバイスが付いた最新式の体重計と血圧計の試用する治験ボランティアです。この場合、治験というよりも新商品モニタといった方が適切かもしれません。

治験期間終了後、この最新式体重計と血圧計はそのまま頂戴する事ができ、今でも我が家で活躍中です。

酸欠状態に陥った際の人体反応調査

拘束時間わずか2時間で2万円の報酬(負担軽減費)という効率の良さで応募した治験でしたが、これは正直キツかった‥‥。

新薬を飲むわけでもなく、なにやら巨大な装置に座り、静脈ではなく動脈に留置針を刺され、二酸化炭素濃度を徐々に上昇させ、苦しくなって我慢できなくなったらギブアップ宣言をするという内容を数回繰り返すという内容で、人体実験色の強い治験でした。

ちょっと変わった治験ボランティア

様々な治験ボランティアのうち、これは是非とも参加したいと思った治験がありました。それはアメリカ西海岸に渡米して約1ヶ月間入院するというものです。

日本の治験実施施設(病院)は比較的限定されていて、東京・大阪・福岡が大半を占めるのですが、アメリカで実施というのは極めて珍しい治験です。渡航費用はもちろん治験主催元が負担してくれます。

残念ながら都合が合わず応募には至りませんでしたが、たまにこうしたビックリするような治験募集がかかるので、治験募集サイトはこまめにチェックする事をオススメします。

治験ボランティアでよく見かける3種類の人々

治験に参加している治験ボランティアは実に様々な人がいます。治験ボランティア同士それほど活発に話をするわけではないので、普段何をしているのかわからない謎の人も多いのですが、過去の経験上、治験ボランティアによく見られる人物はおよそ3種類に分類する事が出来ます。

  1. 苦学生苦学生
    治験ボランティアで一番多いのは時間の融通が利きやすい学生さんです。その中でも学費を全て自分で工面しているような、いわゆる「苦学生」さんが多いです。
  2. 苦学生ミュージシャン
    見た目で一発でわかるのがミュージシャンです。特に髪型に特徴のあるロック・パンク系のミュージシャンを良く見かけます。グループメンバー全員で参加しているケースも多く、独りぼっちでの参加では無いのでなにやら楽しそうです。聞いたところによれば、楽器の持ち込みは禁止なので練習が出来ない事と、入院期間中は禁煙なので、そこが辛いとよく言っていました。
  3. 宗教家宗教家
    学生でも無い。ミュージシャンでもない。でも凄く真面目そうで、少し年齢が上、独りぼっちで参加している謎の治験ボランティアの正体は某新興宗教の出家信者だったというケースに何度か遭遇したことがあります。宗教もお金かかるみたいで、なにやら大変そうです。

まとめ

治験ボランティアに参加する動機やバックグランドは人それぞれですが、治験ボランティアは、新薬や新しい医療器具の創生に貢献できる、やりがいのあるボランティアです。しかも報酬金(負担軽減費)がもらえる有償ボランティアです。かつては「怪しいアルバイト」と誤解している人も多かったですが、今やインターネットの治験募集サイトを通して誰でも気軽に参加できるものとなりました。

治験ボランティアはボランティア募集サイトによって取り扱っている治験が異なります。自分に合った治験を探すには複数のサイトに登録して頻繁にチェックする事をオススメします。条件の良い人気の案件はすぐに埋まってしまいます。

みなさんが素敵な治験ボランティア生活を送れるよう陰ながら応援いたします。そしてあなたの追い求めている夢がかないますように!

らくとん
作成日 2018年06月24日 15時35分
更新日 2019年04月25日 00時26分
5640文字
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